もししがないフラーライターがプロの事業戦略家に出会ったら第九章

新たなスタート

 私が物心ついてから十数年、人見知りなりにいろんな人に接する機会がありました。しかし、こんなにも慈悲深く、愛情を持って人に接することができる人には出会ったことがありませんでした。そんな真摯に向き合ってくれる黒田さんのそばで、何もないなりに何かお手伝いできることがあるならこの命使ってでも黒田さんを支えたいと思う私は、一種の兄妹バカなのかもしれませんね。

 それからというもの、黒田さんは私の将来設計も含め、自分の将来設計もしっかりと考えていくと言ってくれました。自暴自棄になり、死にたいとさえ思っていたあの面影はもうどこにもありません。

 「今は、またいつ訪れるか分からない発作と向き合い、死にたいではなく生きたいと思えるようになった。」と、生き生きとした目で話してくれます。それでも昔はひどかった発作が、私と出会ったことでほとんどなくなったという話を聞いて、とても嬉しくなりました。きっと気持ちが沈んでいたから、その負担が発作となって現れたのではないかと。そんな黒田さんを見ていると、私も頑張らなきゃなと思えるんです。切磋琢磨しあえる兄妹ができたことを、私は一生誇りに思いながら生きていくんだろうなと心の中で感じていました。

 黒田さんは立ち止まらない人です。やると決めたらとことんやるし、万が一のことも考えて、できなかった時はすぐに次の一手を講じて臨機応変に対処します

 黒田さんは優しい人です。昔は全然違ったみたいですが、今はそんな面影は一切ありません。誰にでも平等に接しますし、いつも優しい言葉をかけて周りを元気付けてくれます。時には厳しいことも言いますが、それは相手を本当に思っているからこその黒田さんなりの誠意なんだということも、本人はそうは言わないけどしっかり伝わります。

 黒田さんは本物です。日本一のトップマーケターの先生や東証一部上場の会長さんとも親しい間柄で、一流の人脈をコネなしで自分で作り上げられるし、事業プロデュースしている顧問先や黒田さんを応援してくれている方々からの人望も厚く、ビジネスにおいても一人の人間としても非の打ち所がない人です。そして何より命には制限時間があってみんな平等に有限であること、それゆえに尊さや価値も痛いくらい理解してることを、そばにいるたびに感じ取ることができます。

 そんな黒田さんから、ある日こんな提案が飛び出しました。「一緒に会社を立ち上げよう、そして代表取締役は…はるにしようと思うんだけど、どうかな。」

 突然の発表に正直、どう答えたらいいか分からずにいた私の気持ちを汲み取ってくれた黒田さんは「最初は不安だらけだろうけど、僕ははるのことを一生支えるって決めたから、何があっても一緒だし、ビジネスのことは僕がこれから全部教えていくから安心していいよ。」と、いつもの優しい笑顔で諭してくれました。自分にこんな大役務まるのかというプレッシャーはあったものの、黒田さんがそばにいてくれるなら何も怖いものはないと、自然と安心感を覚えていくのを感じました。そして、こうなった経緯には私のわがままがありました。

 私の周りにの友達は「結婚したら専業主婦になってダラダラしたいから、お金持ちの旦那さんを見つけなきゃ!」という話で持ちきりでした。確かに、稼いでくれる旦那様がいれば家計は安泰ですし、いくらでもお家でゴロゴロできる専業主婦は彼女らにとっては最高の特権だったのでしょう。決して彼女らの価値観を否定するわけではないですし、夫婦間でそれでいいという話になっているのであれば何も問題はないですよね。専業主婦の方々がみんなダラダラしているということを言いたいわけでもありませんし、子供を授かったら家事どころじゃないというのも重々承知しています。

 ただ私の場合に限っては、旦那様に稼いでもらうことよりも、自分が稼ぎたい欲の方が強かったんです。それはやはり、目の前で両親が離婚するのを目の当たりにして、残された母が精神面のみならず金銭面でも辛い思いをしているのを見てしまったからです。共に支え合い、永遠を誓いあったはずの二人が、こうもあっけなく別れてしまうんだ…という現実を突きつけられてしまったからです。

 もし何もかもを旦那様に頼りっきりにして、なにかの弾みで離婚なんてことになったら…、その時子供もいる状態だったら…、と考えると、どうしても旦那様に依存することへの恐怖心が拭えなかったんです。「いやいや離婚するかもしれないという前提で結婚する方がおかしいだろ。」という意見はもちろんあると思います。もちろんその通りですし、そうならないようにお互いがお互いを尊重しあって良い家庭を築けるのであれば、それに越したことはありません。いつまでもご夫婦仲睦まじい関係を保っていらっしゃる方々がいるのも知っていますし、本当に理想の夫婦の姿だなと思っています。

 でも人生、何があるかなんて本当に分からないんですよね。離婚ではなくとも、旦那様と突然死別してしまう可能性だってあるし、子供が難病にかかって高額な医療費を払わないと存命が難しいなんて言われた日には、もうどうしていいか分からなくて、きっと目の前が真っ暗になってしまうと思うんです。考えたくはないですが、最悪の場合を想定してみると、やはり自分は自分でちゃんと資産を潤沢に作れる状態になっておけば、いざという時に自分も家族も守れるじゃないですか。そして何より実家の母を早く楽させたいという思いが強かったんです。だから私は自分で稼げる力が欲しいと、黒田さんに相談したんです。 

 そんな経緯があって、黒田さんは私が今持ち合わせているスキルをフル活用して、全てを逆算した上で私に合ったビジネスモデルを考えてくれました。私に合った、というよりも私がちゃんと成長できるような、と言った方が適切かもしれません。私が一人前の経営者として活躍できるようにという黒田さんなりの愛があったんだと思います。

 そうして誕生したのが株式会社Black Trick。社名は、私たち黒田義兄妹の名字をとって黒、すべてを塗り変える色という意味と、ビジネスを仕掛ける側になろうという意味を込めて”芯のある強さで仕掛ける側に塗り変える”という思いを込めました。

 その中の事業の一つとして生まれたのがowner create。ざっくり言うと集客代行になるのですが、これから新規事業をやってみたい人向けにビジネスモデルの構築やブランディングを一緒に考え、サイト作成、ブログ、YouTubeの構築、SNSコンサルティングでもって集客をお手伝いさせていただくというのが主な事業内容です。どの同業他社よりも安い価格設定で。私は主にowner createにてブログライターの経験やツイッターでの実績を踏まえて、監修先のwebサイトの構築とSNSコンサルティングをまずはメインで動いていこうということになりました。

 当初は2020年4月1日設立予定でしたが、新型コロナウィルスの影響を加味し、今設立するメリットがほとんどないかもしれないという結論に至ったため、設立を延期することになりました。ですが、これはある意味チャンスだと黒田さんは捉えたんですね。準備期間が少し伸びたと思って、いざ設立してから一気に事業展開できるような戦略を練る時間ができたからこ言う都合だと言ってくれました。本当にこういう時、兄は心強いなと改めて感じました。

はるか
事業を進める過程で不測の事態に備えるリスクヘッジまでしっかり考えられる事業家は、そう多くいません。やはり多くが事が起こってから慌ただしく事態の対処に取り掛かるのが現状ですよね。

これって事業だけじゃなくて、いろんな場面で役立つ考え方だなと思っています。先のことををある程度予測し、不測の事態に備えておけば、例えば自分の考えなしの一言が誰かを傷つけることもなくなりますし、ひいては自分の身を守ることにもつながります。

行き当たりばったりの人生もスリリングで楽しいですが、もしもの時のことを考えながら行動する癖を身につけておくと、後々周りも自分も救うことになるかもしれないということを念頭に置いておいきたいですよね。

第十章ニューロブログライターとしてへ続く…